親御さま相談室

<知識問題に対応するために>

知識問題には大きく分けると次のようなものがあります。

  1. 漢字
  2. 二字熟語、四字熟語
  3. 慣用句
  4. ことわざ
  5. 文法

まず、知識問題できちんと正解を得るためには、当たり前ですが「覚えること」が不可欠です。そして、尚且つ、「覚えたものを自分のものとして活用できる」ところまでもっていくことです。
国語の中学入試問題においては、「知っていれば解ける」というような単純な問題は過去のデータを分析してもほんの少しの割合です。
国語の入試問題で大きな割合を占めるのは読解問題ですが、つまり、「知識がどれだけあるのか」というのは、「文章をどれだけ正しく読むことができるのか」という問題で試されるのです。
言葉についての正しい知識がなけらばなかなか的確な文章の読み取りはできません。ですから、語彙力や文法の知識と、読解は常に結びついていると考えて下さい。国語の入試問題においては、その漢字を書けなくて失敗するというよりも、むしろ、その漢字の意味を知らないことが原因で問題文を正確に理解できず、設問を解けないという事態の方が、大きなマイナスにつながります。

ですから、語彙をただ暗記するというよりも、意味を正しく理解し、それを自分で使えるようになることが肝要なのです。
そうすれば、身につけた語彙力は確実な力となり、しっかりと設問で正解が得られるようになります。
緊張する入試の最中に忘れてしまうような頼りないうろ覚えではいけません。
実力を試験でいかんなく発揮するためにも漢字、熟語、慣用句、ことわざなどは、是非しっかりと自分の言葉として使えるようにしておきましょう。

では、どうしたらよいのでしょうか?
コツとしては、毎日時間を決めてコンスタントに少しずつ覚えることです。
決して、いっぺんにたくさん覚えようとしないことです。無理に詰め込んでたくさん覚えても、それをすべて記憶としてずっと残すのは至難の業です。
また、ある時期にまとめて学習してもそれっきりで、復習をしなければ知識が定着しませんので継続的に学習していくことを旨として下さい。

ですから、一番のコツは、少しずつ毎日です。

それでは知識問題につきまして(1)「漢字」、(2)「二字・四字熟語」、(3)「ことわざ」、(4)「慣用句」、(5)「文法」について各々項目別に学習方法をアドバイス致します。ここでは、同じ学習方法である、*「漢字」と「二字・四字熟語」 *「ことわざ」と「慣用句」は、ひとまとめにしてお伝えします。

(1)「漢字」(2)「二字・四字熟語」の効果的な学習方法

漢字や熟語を覚えるコツは、やはり書くことですが、注意しなければならないことは、ノートに「ただ書くという作業」にしないことです。
よくお子さまが「漢字練習帳」のノートに一つの漢字や熟語について10回なら10回、書いていくという宿題が学校などで頻繁に出されます。
この書くという行為自体はとてもいいことなのですが、書くだけで終わらせないことが大切なのです。
まずは、その言葉を書く前にその言葉の意味をしっかりと確認して下さい。
意味がわからない場合は、必ず辞書で調べて理解してから書き始めます。
また、きれいに書いたノートを見て満足するだけで終わらせず、本当に覚えたのかどうかを確認することが大事です。
例えば、練習した漢字や熟語が10個あるとします。
そうしたら、他の紙にその漢字の読みをひらがなで書きます。10個あるならば1から10まで番号を書き、そのあとにひらがなで読みを書くと答え合わせの時にわかりやすいと思います。  
そして、その後に一旦ノートを伏せて漢字を書いていきます。
ようするに自分で簡単な「漢字テスト」をするわけです。

       1・・・・・(←ひらがなで書く) ・・・・(←漢字で書く)
       2・・・・・           ・・・・
       3・・・・・           ・・・・
       4・・・・・           ・・・・
       5・・・・・           ・・・・
       
       ↑
       このように紙に書いていきます。 

この簡単な漢字テストを行う時も、答えの漢字や熟語を書く時は、言葉の意味もきちんと頭の中でもう一度確認しながら書いて下さい。
おそらく、漢字練習をノートにした直後ですからスラスラと書けるのではないかと思います。
しかし、肝心なのは、その時覚えた字をずっと記憶して、何日、何週間、何ヵ月経った後にもきちんと正しく書けるかどうかです。
そのためには、覚えた日の翌日の朝、学校に行く前の数分間でもう一度同じように漢字テストをするようにします。
朝、学校に行く前の慌ただしい時にそんなの無理だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそんなに時間はかかりません。
ひらがなで書く部分を省略し、お母さまが口頭で「読み方」を言い、それを聞いて紙にお子さまが漢字を書くというようにすれば、さらに時間の短縮になります。
これは、覚えているかどうかということを単に確認するための行為ですので、きれいに書く必要はないのです。
ササッと10文字を紙に書くのに一体何分必要でしょうか?
3分もあれば十分です。
これをもし、入試本番まで毎日繰り返し行うと漢字の知識は、抜群になります。
また、ある程度の日にちが経ってから、一度覚えた漢字をもう一度復習テストすることも大切です。
この確認こそが確実な力になります。
私は、よく新聞の広告のチラシの裏を使って漢字テストをすることをお母さまやお子さまにお勧めしています。最近では、両面に印刷されているものも多いのですが、一日の新聞に挟まっているチラシを見ると必ず、一枚や二枚、裏が白紙になっているものがあります。
あくまで、覚えているかどうかの確認ですので、その漢字をテストする時には大きくササッと書くだけでいいのです。いちいち新しいきれいな用紙を用意する必要はありません。
また、チラシの裏は書くスペースが広いことが利点です。
できるだけ大きな字で書きましょう。そして、もし間違ってしまった漢字や熟語があったら、それを余白に覚えるまで書きます。何回でも構いません。覚えるのが難しいと思った言葉は10回でも20回でも書けばいいし、もう大丈夫だと思えば、2、3回でもいいのです。チラシに書いて、覚えていることを確認したらそれは捨ててしまっても構いません。このように、漢字や熟語のテストを繰り返し行えばその継続が知識の定着につながります。

(3)「ことわざ」(4)「慣用句」の効果的な学習方法

ことわざや慣用句を覚えるのに効果的なのは「カードの使用」です。
まずは、カードを作成する前にしっかりと覚えます。そして覚えたものをカードに書いて「ことわざカード」「慣用句カード」に分けて束ねておきます。
そして、机に向って学習する以外のスキマ時間にちょくちょくとそのカードを読み直しておくのです。
ここでも、「スキマ時間の有効な活用術」でご紹介しているように、カードを作は、必ず一度覚えてからカードに書き込むようにして下さい。
カードを読み直す目的はあくまで学習したものをきちんと頭の中に定着させるということですので、覚えていないものをカードに最初から書いて、カードで覚えるという順番は避けて下さい。
そうしないと、カードを読んで覚える時に時間がかかります。
カード作りをする段階では、覚えようという目的というよりも、むしろ覚えたことを確認するという目的意識を持って下さい。
カードを読み直す時は、時間をかけず、写真のシャッターを頭の中で押すような感じのタイミングで素早く確認します。
学習したことを忘れてしまったカードが出てきたら、そこではじめてゆっくりと時間をかけて読み、覚えるようにします。
そして、ここが肝心なところなのですが、覚えていられなかったということは、その「ことわざ」や「慣用句」とお子さまの記憶の機能との相性があまり合っていないということなのです。
大袈裟だと思われるかもしれませんが、ちょっとしたことでも相性というのは影響するのです。
何度も何度も覚えたつもりなのに、忘れてしまったことってありませんか。
それは誰でもあることなのです。
ですから、相性の悪いものほど、徹底的に頭に刷り込む必要があります。
カードで確認した時に、もし覚えられていないようでしたら、これでもか、というほど紙に何度も書いて覚えて下さい。
復習してもまた忘れたらすぐ紙に何度も書いて覚えます。
そして、確実に覚えたと思ったら、再びカードで何度も確認します。

例えば、朝起きてカードで確認し、学校から帰宅したらすぐカードを見直して確認し、夕食の前に確認し、入浴の前に確認し、寝る前にベットの中で確認します。
ここまで確認すれば、まず間違いなくしっかりと記憶に残ります。

それから、記憶に定着させる有効な方法として、親子で楽しみながらそのことわざや慣用句を使って会話をするということをお勧めします。
例えば、
「明日は運動会ね、たけし君はリレーの選手だからお母さん鼻が高いわー」
「今日は遠足で一時間以上歩いたから足が棒になっちゃった
「今日お買い物に行った時、お支払をする段になってお財布を忘れたことに気づいて顔から火が出ちゃった
「ここのケーキおいしいのよ。折り紙つきよ」

上記のように、いろいろな慣用句やことわざを話の中で使ってみるのです。
お子さまがその言葉を使って会話ができるということは、その言葉を完璧に覚えているということだけでなく、意味をよくわかった上で、すでに自分の言葉として完全に取り込んでいるという証拠なのです。
ここまでくれば、そのことわざや慣用句は絶対に忘れることはありません。
また、読解問題の問題文中にこれらの言葉が組み込まれていたとしても、しっかりと正しい読み取りが可能になります。

文法の有効的な学習方法

文法問題についていえば、中学入試の場合、その学校によって「どのくらいの割合で出題されているのか」または「どのような形式の問題が出ているのか」という傾向がまったく違います。
ただ、一つ言えることは、文法問題は、独立した「文法問題」として出題されることは少なく、たいていの場合、読解問題の問題文中に組み込まれているのです。
例えば、問題文中でその「言葉の使い方」を考えさせたり、空欄補充のような形で、言葉を選択させることにより文法的な知識を問うものが多いです。

ですから、文法問題への対応策としては、文法そのものの基本的な知識を一通り覚えるときに、その言葉への理解を深めることが大切です。

まず、基本的な知識としておさえて欲しいのは品詞があります。
文を細かく分けていった時、もうこれ以上分けることができない言葉を単語といいますが、この単語を意味や働きの上から分類したものが品詞です。
ここで重要なのは、その品詞の働きです。
入試問題において品詞名を問われるような問題はあまり出ませんが、その品詞の働きやその言葉の使い方については頻出しています。
ですから、まずは、その品詞の役割を把握し、実際の文章でどのように使われているのかをつかんでいくことが大切です。

特にその言葉の使い方を問われる形で読解問題に導入されて頻繁に出題されるのは、助動詞や助詞の使い方です。
それから、読解問題の問題文中によく導入されているのは、空欄補充という形で、いくつかある選択肢の中から正しい言葉を選ぶといった問題が頻出しているの
ですが、たいていは副詞と接続詞の使い方を問うものが多いです。

ですから、文法を学習する時は次のような順番で学習するといいと思います。

  1. 各品詞の性質と働きをきちんと理解しておく
    (名詞、動詞、形容詞、形容動詞、接続詞、副詞、連体詞、感動詞、助動詞、助詞  以上の10種類です)
  2. 助動詞、助詞、接続詞、副詞の働きは他の品詞以上にその働きと使い方についてきちんと理解を深めておく。(この4つは必ずおさえておいて下さい)
  3. 塾のテキストや問題集を使って「文法についての問題」を解いてみる。
    この段階で各品詞の性質や働きをさらに正確に理解し、確認しておきます。
  4. 読解問題を通して確認する
    文法の基本的な知識を頭に入れたら実際に読解問題に組み込まれて出題されている文法問題を解いてみましょう。
    ここできちんと解答できていればしっかりと理解できていることになります。

以上のような手順で学習すると段階ごとに理解が深まっていくと思います。
実際にいろいろなジャンルの文章に触れ、また多種多様なタイプの読解問題に取り組むことで、文法問題の対応に慣れることができます。
中学の入試問題では、文章の中の一部の単語が「どのような働きをしているのか」ということが問われていることが多いですので、最終段階としては、是非読解の問題文を通して「文法問題」への対応を訓練して下さい。

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