親御さま相談室

<お子さまと学習する時に心に留めておいて欲しいこと>

中学校を受験すると決めた場合、国語の基礎学力をつけるためには、やはり親御さまが家庭学習をサポートする必要があります。その際に親御さまに留意して欲しいと考えていることをご紹介させて頂きます。

*まずは、無理なく学習を積み重ねる

例えば、親御さまに絶対にサポートして頂きたいのが漢字やその他の知識問題の学習です。
これらの学習は、その都度きちんと計画を立てて知識を蓄積していく必要があり、低学年の頃から地道に少しずつ積み上げていくべきだと思います。
小学校一年生には一年生の、二年生には二年生の、それぞれ学習しておくべき漢字や知識があります。中学年、高学年になっても然りです。
その学年にふさわしい知識の習得をしっかりとしておかなければ中学受験に臨むことは難しくなります。仮に低学年からの学習を怠っていると小学校高学年になってから慌てて詰め込み学習をすることになってしまいます。

特に語彙力はあればあるだけ国語の試験の場合は有利になりますから、漢字の学習とその学年に学習するべきことわざ、慣用句、二字・四字熟語・文法などの知識は着実に身につけておくようにしておくと高学年になり、本格的に受験勉強をスタートする時に楽です。
それは、素晴らしい建造物を建てる時にはしっかりとした基礎工事が必要なのと同じです。土台がしっかりしていなければ、急いで立派な建物を築こうとしても途中で崩れてしまうのです。基本的な漢字やその他の知識がきちんと備わっていれば、文章を正しく読み、書くことができます。受験勉強をする際にもこうした礎があれば、読解問題へのテクニックがいかようにも応用できるのです。
低学年のうちから難しい読解問題を解く必要はまったくありません。
基本的な語彙などの基礎が築かれていないこの段階で、問題集を学習の主軸にすることはむしろ弊害となりますので絶対に避けて下さい
「その学年に学ぶべきことをしっかりと学習しておく」ことこそ大切です。特に「語彙の学習」と「文章を読み、そして書く学習」に主軸を置くようにして下さい。

*学習を習慣化させることが大切

国語の学習は、毎日の継続で知識を蓄積していかなければなりません。
昨日は学習したけれど今日はやらないというのでは、あまり学習の成果はでません。
ですから、無理のない学習計画を立てて日常生活に組み込んで習慣化していくといいと思います。
例えば、朝起きたら漢字の学習をする。
夕方帰ってきたら○○と○○を学習する。というように、時間帯を決めてその時間は必ずその内容を学習していけばいいリズムを作れます。
特に小学校高学年にさしかかった時期からは生活を改善してみるのもいいでしょう。例えば、6年生からは朝は今までより30分早く起きる。夜更かしをせず、睡眠時間を最低でも7時間以上しっかり確保する、など学習のスケジュールに合わせて生活改善をしていくとよりスムーズに学習が進みます。

*教える人自身が楽しめることが大切

2008年11月号の『プレジデント Family』に掲載されておりました「算数嫌いな子の学ばせ方」という記事の内容にとても感銘を受けた提言がありましたのでご紹介したいと思います。
その記事には、「まずは算数を好きにさせなくてはならない」「教える大人は常に前向きでなくてはならない」「算数の面白さはそれを知っている人から教わるもの」という鉄則が述べられており、それはまさに国語の学習にも当てはまることばかりで中学受験に向けてお子さまの国語の学習をサポートする親御さまにも是非お勧めしたいと考えました。
これは全教科に通じている内容だと思いますが、親御さまが学習を一緒に行う場合、まずはお子さまに興味を持たせることからスタートするべきだと思います。
例えば、もし語彙力が不足していれば文章を読むこと自体が苦痛になります。文章が正しく読めなければ読解問題を解くことにも苦痛を感じるはずです。そして文章を書くことも当然のように億劫になります。
それはすべて言葉を学ぶことの楽しさをまだ知らないからに他なりません。
まずはお子さまに国語を好きになってもらうことです。
では、そのためにはどうしたらいいのでしょうか。
私は、やはり教える親御さま自身がお子さまと学習する時に楽しむことが大切だと思います。
「国語=(イコール)勉強」と感じさせないくらい楽しく学習する手段はいくらでもあります。
語彙力を培う学習は、机に向かわなくても行うことができます。
さまざまな生活体験の中でもお子さまは多くの言葉を習得しています。その言葉を使って毎日メモ書き程度の文章を書くと驚くほど文章力が養われます。
また、塾のテキストに載っている言葉も日常会話で使って使って使いまくれば自然に覚えてしまいます。
食事をしている時や一緒に外出する時などお子さまと共に過ごす時間に今まで学習した二字熟語、四字熟語、ことわざ、慣用句は会話の中でどんどん使って下さい
また、『答え探しの技で勝つ!』の著書の中でも触れておりますが、その日覚えた漢字や言葉を使って親子で短い手紙を書いて交換したりするのも楽しいものです。
例えば、「三寒四温」という四字熟語をその日お子さまが学習したとします。
そうしたら、すぐに「三寒四温だけど○○君は風邪をひかないで元気に毎日学校に通っているのでお母さんはうれしいです」などと書いてお子さまに渡してあげると喜びます。
まずは親御さま自身がいろいろな言葉や文章をお子さまと一緒に楽しんで下さい
そうすればきっとお子さまも言葉を習得していく喜びを感じ、文章を読んだり書いたりする楽しさを体感できるはずです。

*親御さまが積極的に学習することが大切

中学受験に向けてお子さまの学習に携わると親自身の人生にも大きなプラスになります。お子さまを通してもう一度学習し、自分自身も知識を磨き直せるなんてとても素敵な体験だと思いませんか?
自分が学生時代だった頃にはまったく興味が持てず、苦手だったものも面白く感じてきたり、お子さまに教えながら自分が持っている知識をもう一度再確認できたりすることは本当に楽しいものです。
もし、お子さまが中学受験に臨むことを希望し、親子でよく話し合った結果、受験をすることが決まったらその時点から親御さまは必ず我が子の塾のテキストに毎回目を通して下さい。
そして、そのテキストを読み自分自身の知識をブラッシュ・アップすることを楽しんで下さい。
理想を言えばテキストを読み、その内容を確認したら親御さま自身も実際に問題を解いてみることをお勧めします。
「中学校受験の問題はこんなに難しいのか?」と一瞬呆然とすると思います。それに気付くだけでも大きな前進です。
我が子がこんなに難しいことを日々学習しているのだと気付けば、ただ単に「勉強しなさい!」「もっと頑張りなさい!」とだけ言うことがいかに間違っているのかということも実感できます。
そして、そこからが本当の受験生の親としてのスタートだと思います。
別にお子さまの学習内容をすべて完璧に理解し、テキスト全部の問題を解いて正解を出すことが大切なのではありません。内容が理解できなくても、正解を導き出すことができなくても一向に構いません。親自身がすべての知識を頭に詰め込んでおく必要などありません。
ここで私が申し上げたいのは、お子さまが理解できない内容があった場合、一緒に辞書を引いてみたり、また解説を読んだりして共に歩んで欲しいということです。
そうした学習は効果が絶大ですし、何よりも学習を通して親子のコミュニケーションを深め信頼関係も良好になります。
お子さまの前でかっこいいところを見せようなどという見栄は張らず、「これ、お母さんもよくわからないから一緒に辞書で調べて書いておこうか」という具合でいいのです。
むしろ、上からお子さまを見るよりもお子さまと一緒の目線で共に歩んでいく方がはるかにお子さまの学習意欲を高めると思います。
まずは、ご自分の興味のある科目からテキストを読んでみませんか。
きっと自分自身の世界も広がり新しい発見があると思います。

*小さなことでも大げさなくらい褒めることの大切さ
  (お子さまには必ずポジティブな言葉をかけましましょう!)

褒められて喜びを感じない人間はいないのではないでしょうか?
「叱るよりも褒めた方がお子さまの学習効果は上がる」というのは私の持論です。
日常生活における礼儀作法など、親として叱らなければならない場面は多々あると思いますが、学習面だけでは、できるだけ叱らず褒めてあげるようにして下さい
温かい笑顔と言葉がけで、お子さまをぽかぽかと明るい気持にしてあげて下さい。
明るい気持ちを持っているとプラス思考になります。
何よりもお父さま、お母さまに自分が認められ、愛されていると実感することでお子さまは自分自身に肯定的な確信を持ち、またその自信が積極的に学ぼうという姿勢を育てます。
知的生産性を上げるためには、何よりも自分に自信を持つことが大切です。
特に、お子さまのテストの結果が芳しくなかった時や問題が解けなかった時、そして問題を間違えてしまった時などに叱ったり責めたりしないで下さい。
ここで責めてしまえば、お子さまの心にダメージを与え学習意欲を萎えさせてしまいます。あるいは、自分に与えられたプレッシャーの重さで脳の働きにストッパーがかかり知的生産性が落ちてしまいます。
ですから、絶対にネガティブな言葉をかけず、常に前向きな温かい言葉を存分にお子さまに注いで頂きたいのです。

例えば、テストの結果が悪かった時に
  「これは、この間教えたじゃないの、何でできなかったの?」
などというお子さまを追い詰めるようなネガティブな言葉は絶対に使わず
「よかったね!今のうちに弱点がわかって。大丈夫、
  あなたなら次は絶対に解けるよ、ドンマイドンマイ!」
といった調子でお子さまの心に光を与えてあげて欲しいのです。

学習効率を上げるためには、お子さまの「心が疲れていない状態で余裕があること」が必須条件です。
親御さまの優しい眼差しと言葉掛けは何よりの励ましになり、お子さまの心はぽかぽかと温まり、学習意欲と向上心をより高めます。

*このインフォメーションにおきまして「雑誌名」・「記事のタイトル」の掲載許可をくださいました
 『プレジデント Family』の鈴木勝彦編集長に心よりお礼申し上げます。

お問い合わせ