親御さま相談室

<受験生のお母さまたちへのエール>

中学受験というのは、どうしても親がかりになります。そして、言うまでもなく大抵の場合はお母さまの果たす役割が大きくなり、お子さまの健康管理や精神的なサポート、そして学習面のフォローと奔走することになります。
中には、お父さまにその役割を担って頂けるありがたいご家庭もあるようですが、ほとんどの場合はお母さまの肩にかかります。
私もかつては中学受験生の母親として我が子のサポートをしてまいりました。
その頃を振り返ってみますと「もっとこうすればよかった、ああもすればよかった」ということが今ははっきりとわかるのですが、その時には無我夢中で自分のことが客観的に見えないものです。
私が「お母さま塾」で学習指導に携わらせて頂いている多くのお母さま方も、かつての自分と同じように暗中模索を繰り返しながらお子さまの「第一志望校合格」に向けて頑張っていらっしゃるのだと思います。
その中でさまざまな悩みや迷いを抱えて真剣に取り組まれている姿はかつての自分の姿と重なり本当に心からのエールを送りたくなるのです。
ここでは、私が今思う、「受験生のお母さま」にできるアドバイスを自分の経験を踏まえながら書かせて頂こうと思います。

*お母さまの元気がお子さまを元気にする

受験生のお母さまのたいへんさを理解した上であえて主張させて頂きます。
お母さまはいつも元気でいることが何よりのお子さまの精神的なサポートになります。
しかしながら、お母さま自身が精神的にダウンする要素はたくさんあります。
例えば、お子さまのテストの成績が悪い時は当然精神的なダメージを受けます。
『親御さま相談室』の「大手進学塾の模試の活用の仕方」の中で、私はテストの結果を気にせず、むしろミスした問題を分析し、弱点の補習に努めて下さい、と申し述べました。
しかし、わかっていても気にしてしまい、とても、とても、とても落ち込んでしまうのが実情だと思います。
でも、実はこの時こそが肝心なのです。
ここで子どもの可能性を信じて頑張れるかどうかが正念場なのです。
我が子は必ず伸びると信じて下さい。
そのことを一瞬たりとも疑わないで欲しいのです。親が我が子を信じて平常心を保ち、今日行うべき学習をしっかりと行うことこそ大切です。
むやみに悪かった成績を責め、お子さまにプレッシャーを与えるようなことだけは絶対に避けて下さい。
千里の道も一歩からなのです。
学習は継続して行い少しずつ知識を蓄積することでしか成果はでません。
テストでは悪い結果が出た時こそお母さまは元気を出してお子さまを励まして下さい。お子さまだって結果が悪い時は落ち込んでいるはずなのです。不安でいっぱいになっているし、勉強をしようというテンションも下降しているはずなのです。お母さまはそんな時にお子さまの一番の味方になってあげて欲しいのです。母親の強い精神力がお子さまを支えます

*中学受験が我が子のためになると思って決めたのであれば首尾一貫してその信念を貫くことが大切

私は、今でこそこのように皆さまに様々なことを申し述べさせて頂いておりますが、やはり我が子を育てる際にはそれこそあちこちから情報を集めては右往左往しておりました。
子育てについては一つの事に関しても様々に意見が分かれるのが常です。
受験に関してだけではなく、もうそれはお子さまがこの世に生まれた瞬間から母親にいろいろな意見が降り注がれます。

例えば、お医者さまは、「赤ちゃんが泣いたらすぐに母親が抱いてあげるという愛情表現を必ずするように」とアドバイスを下さり、一方、三人のお子さまを育て上げた経験を持つベテラン看護婦さんは、「泣いたらすぐ抱っこでは、抱き癖がつくのでよくない」とおっしゃっていました。
我が子が幼児期になってからはだんだんと教育について考え始めましたが、
ある教育のプロと呼ばれる方は、「早期教育は子どもにとって非常に効果的であり今後の人生を豊かにする」と主張し、別の長いキャリアを持つ教育者の方は、「早期教育は子どもに多くの弊害をもたらす」とおっしゃっていました。

しかし、新米ママとして右往左往しながら私が最終的に辿り着いた結論としては、我が子のことは自分たち親が一番愛しているのだし、自分自身が子どもにとって本当にいいと信じたことは、誰が何を言おうと実行しよう!ということでした。

ここで挙げさせて頂いた「抱き癖」と「早期教育」の例以外でも、意見が二手に分かれることは多方面に渡ってたくさんあります。
分かれている意見のうち、どちらの方が正しいかはともかくとして、「我が子にはどのような教育をしていくことがベストなのか」を決めるのはやはり親しかいないのだと思います。
お子さまは一人一人個性が違いますし、その子にとって何が一番いいことなのかも当然違います。そうであるならば親以外の誰が適切な判断を下すことができるのでしょうか?
中学受験に関しましても、世間では様々な見解があります。
賛成派、反対派、当然二手に分かれます。
「今のこの厳しい格差社会の中で勝ち抜いていくためには今猛勉強させておかないと一生勝ち組に入れない」という言葉も最近ではよく耳にしますし、「小学校の頃からそんなに勉強させてかわいそう」という言葉もよく耳にします。
世間という漠然とした意見だけではなく、あるいは、親族間においての意見の対立の狭間で悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、自分の子どもを一番よくわかっているのは親自身であるし、最終的に我が子の人生における責任を背負って一緒に歩いて行くのも親だけなのではないでしょうか。
お子さまにとって一番気の毒なのは親御さまの方針がしばしば変わってしまうことです。
先にも述べましたように、子どもの教育方針については本当に多方面にわたりいろいろなことが提唱されていますが、「子どもにとって何がプラスになるのかを見極められるのは結局のところ親しかいない」というのが私の持論です。
もし、親子でよく話し合って中学受験をするという選択をしたのであれば、そして、それが我が子にとっての人生を必ず豊かにしてくれるものだと信じて決めたことであれば、誰が何と言おうと心を揺るがさず毅然として前に向かって進んで頂きたいと思います。
そして誇りを持ってお子さまのサポートをして頂きたいと思います。

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