親御さま相談室

<漢字が苦手なお子さまのための効果バツグンの学習方法>

中学入試における「漢字が出題される割合」は、その学校によって比重が異なります。
例えば、慶応中等部の試験問題においては、「漢字の問題」が読解問題とは独立した形で出題されており、問題数も20問と非常に大きな割合を占めております。したがって、「正しく漢字を読み、尚且つ正しく書くことができるかどうか」が非常に重要になります。
また、慶応中等部の場合は、ことわざ、慣用句、四字熟語などの知識問題も毎年必ず出題されています。この知識問題を解答する際にも「漢字を正確に読む力と書く力」が絶対に不可欠ですのでしっかりと学習する必要があります。

「漢字の問題」の出題数が少ない傾向にある学校の場合においても、やはり漢字の知識は大切になります。
多くの中学校の入試においては、漢字は読解問題の問題文の中に含まれる形で出題されています。
その際に、その言葉(漢字)の知識がないために問題文を正しく読めず、設問に対応できないことがあるのです。
ですから、漢字の読み、そして言葉の意味(特に熟語は重要!)をできるだけ多く知り、また覚えていくことが重要になります。

漢字の学習が苦手なお子さまの場合は、「ノートに漢字練習をすること自体が苦痛である」ということが多いようです。
漢字を書いて覚えること自体が苦痛なのに、それを強要してもあまり効果が上がりません。
お子さまは、大人のように苦痛を感じてもそれに耐えて頑張るということがどうしてもできませんし、強制的に漢字練習をさせたところで、その場では漢字を繰り返し何十回と書いていても、その後もずっと記憶として定着するかどうかは疑問です。
ましてや、入試当日のテストでその成果を出すことは難しいと思います。
ですから、漢字が苦手なお子さまの場合は、「お子さま自身が楽しんで学習できる工夫」が必要です。
楽しくなれば、学習をしたくなります。学習を繰り返せば、記憶として定着します。まずはこのプロセスを踏み、根気よく取り組むことが大切です。

どうしても漢字を覚えるのが苦手なお子さまには、一つの文字をパズル形式で覚えることをお勧めしています。
つまり、左脳よりも右脳にインパクトを与えていく方法で漢字を記憶に残すようにするのです。

例えば、「」という漢字を覚えるとしましょう。
この「」という文字は、よく見ると「」と「」とが、左側に、縦に並んでおり、その右横に「」が並んでいます。この3つの文字をパズルのように組み合わせて頭の中に印象付けるのです。

親御さまには、このパズルを作成して頂きます。
先ほどの「」という漢字を学習する場合は、四角く切った紙をカードにして用意し、それぞれ一枚ずつに「」「」「」という文字を書いておきます。
それぞれのパーツとなる字「」「」「」の大きさは、その組み合わせによって調整して下さい。

そして、お子さまにこのカードを使用して(パズルのように組み合わせて)「」という文字を作成して頂きます。

一度このように自分の手でカードを使い、3つのカードの組み合わせを考えて「」という字を作成し、形のイメージが頭の中にできてしまうと、その字形は完全にお子さまの記憶に定着します。
」という漢字は小学校においては、4年生頃に学習する字ですが、「」は小学2年生、「」は1年生で習います。また、「」は部首として早い時期に学校で学習しているはずです。

つまり、一見お子さまにとって難しそうに感じてしまう漢字でも、実は簡単な文字の組み合わせで成り立っているのだということをできるだけ早いうちに実感して欲しいのです。

このことを実感することにより、小学校5年生、6年生で習う漢字も、どんどんと「文字の組み合わせ」で頭の中に「漢字の字形」が記憶されていきます。 このパズル式漢字学習法は、親御さまが紙を適当な大きさに切ってカードを作らなければならないので、非常に手間がかかるように思われるかもしれませんが、それはお子さまが漢字というものに興味を持てるまでの最初の頃だけです。
慣れてくるとパズルを実際に自分の手で動かさなくても、次第にその漢字の字形が「簡単な文字の組み合わせ」としてイメージできるようになってきます。その後は、カードのパズルを使うことなく、親御さまが声をかけてその字形をイメージさせてあげて下さい。
例えば、「理解」という漢字を学習するとします。

今度はカードのパズルを使用せずに、親御さまが声をかけることにより、お子さまに頭の中でパズル方式を使い字形を組み立てて頂きます。

① 一度「」という漢字と「」という漢字を目で見てきちんと記憶してもらいます。

② 次に「」は左側に「」という字を「おうへん」の形にして書いて その右側に「」という字を書くのよね!と、お子さまに声をかけて頭の中で「理」という字形をイメージしてもらいます。

③ 頭の中で字形のイメージができたかどうかをお子さまに確認したら、今度は紙に大きく「」という字を書いてもらいます。
(この時は、「」という字を見せずに書いてもらいます)

④ 今度は「」という字は、「」を左側に書いてその右側の上の方に小さく「」を書いてそのすぐ下に小さく「」を書くと出来上がるのよね!と、お子さまに声をかけて頭の中で字形をイメージしてもらいます。

⑤ 頭の中で字形のイメージができたかどうかをお子さまに確認したら、今度は紙に大きく「」という字を書いてもらいます。
(この時も、「」という字を見せずに書いてもらいます)

⑥ 今度は、お子さまに「理解」と熟語で大きく紙に書いてもらいます。
この時ついでに「理解」という言葉の意味も確認して下さい。

⑦ 翌日に、本当に覚えているかどうかを確認します。
お子さまに何も見せず、「りかい」って書いてみてくれる? と、声をかけ、一回でいいですので、紙に大きく「理解」と書いてもらうようにして下さい。

⑧ お子さまが「理解」という字をしっかりと書けたら赤で大きな丸を付けて 一言、ヤッタネ!と褒めてあげて下さい。

以上が、本当に、ほんとうに、ホントウに、漢字を覚えることを苦痛に感じているお子さまのために私がご紹介しているパズル式漢字学習法です。 この方法は、親御さまにお手数をおかけしますし、もしかしたら親御さまの中には「ここまでしなくてはダメなの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、漢字の練習を苦痛に感じながら、イヤイヤノートに漢字一文字につき20回書いたところで、その漢字を一週間後、あるいは一カ月後にもきちんとお子さまは記憶に残しておくことができるでしょうか?

このパズル式漢字学習法は、「お子さまが苦痛に感じているにもかかわらず、中学入試には必要なのだから、なんとしてでも、(強要してでも)漢字を学習させなければならない」という(親御さまの)暗いジレンマからの脱却が図れます。

逆にこの学習方法は、お子さまは、喜んで「熱中」します。

親子で楽しんで学習ができますし、簡単な字の組み合わせとして漢字の字形をイメージできるので、とても効率よく、しかも確実に記憶に定着させることができ ます。

私が「お母さま塾」でこの学習方法をご紹介したお母さま方より、「漢字の学習に光が見えてきました!」と、とても嬉しいコメントを頂いております。

もし、漢字が苦手なお子さま、あるいは、漢字の学習自体を苦痛に感じているお子さまがいらっしゃいましたら、是非この「パズル式で漢字の字形を頭の中にイメージする学習方法」をお試し頂ければと思います。

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