<スキマ時間の有効活用>
「スキマ時間をいかに有効に使うか」ということは受験生にとって重要なことの一つです。
スキマ時間を使うというのは、中学受験だけではなく、高校受験、大学受験においても重要なことです。
また、現在は、社会人として働きながら資格試験に臨んだり、自分の目標を設定してそれに関する勉強を続けられる方も多くいらっしゃいます。
そのような方々に向けての「勉強法」を著した書籍も数多くありますが、そこではほとんどの著者がスキマ時間を使うことの重要性を提唱しています。
ここでは、中学受験生のスキマ時間の活用法についていくつかアドバイスをしたいと思います。
お子さまの一日のスケジュールをちょっと頭に思い浮かべて下さい。
朝早く学校に行き、帰ってくるとすぐ塾へ行かなければなりません。塾から帰宅するのは夜遅い時間です。それから食事(塾でお弁当を済ませてくるお子さまも
いらっしゃると思いますが)、入浴、学校の宿題、塾の宿題などを済ませるとすぐに11時、12時になってしまうはずです。
そして、どんなに遅く寝ることになってしまっても翌日は早く起きて学校に通わなければなりません。
すると、宿題以外の塾の復習や志望校の傾向に即した対策の学習の時間を確保するのは至難の技です。
そこで、スキマ時間を活用します。
それはどういうことかと申しますと、「机に向って勉強する時間」以外の時間を使って学習するということです。
例えば、どんな方法があるのかを具体的にご説明致します。
*家の中の壁という壁を有効に利用する
これは、その日覚えたものを紙に書いて家の中の壁に貼り付けていくということです。
つまり、覚えたことを紙に書いて壁に貼り付け、それを見ることによって、家の中での部屋から部屋の移動の時間を利用して復習をします。
受験には当然暗記しなければならないものが数多くあります。
しかも、人間の記憶力とは非常に頼りないもので一度や二度、学習してもしっかりと記憶に留めておく努力をしなければ忘れてしまいます。
ですから、学習したらそれをもう一度紙に書いて壁に貼り付け、いつでも目に留まるようにするのです。
できれば、いつも目につくところがいいでしょう。お子さまの勉強部屋だけではなく、階段の壁、廊下の壁、また、壁だけにこだわらず、例えばお風呂場のドア、トイレのドアなどに貼っておくと、お風呂やトイレに入る時には必ず目にとまります。
この貼り付けのコツとしては、2点あります。
- 必ず学習が済んで一度頭の中に記憶させた内容を紙に書く。
- なるべく大きな太い文字で書く。
貼り付けた内容を毎日目にすることで、それが視覚を通して常に脳に刺激されいずれ記憶となって残ります。一度覚えたものを時間の経過とともに忘れてしまい、再び同じことを机に向って勉強すると膨大な時間が必要になります。
その点、一度暗記したものをいつも見て頭の中で確認するのは、復習の時間の節約になります。
是非試してみて下さい。
*外での移動時間を利用する
これは、例えば、塾に通う途中の電車やバスに乗っている時間を利用したり、待ち時間を利用したりします。
ここで活用したいのがカードです。一度学習して覚えたものをカードに書き込んで束ねておきます。どのようにカードを束ねるのかはそれぞれのお子さまの一番
覚えやすい束ね方でいいと思いますが、やはり科目別、あるいは項目別をお勧めします。
例えば、社会のカードを作成する場合、歴史、地理、公民の三種類に分けて束ねておくと学習しやすいと思います。
細部にわたりカードを作成する場合には、歴史は時代ごとに、地理は地方ごとに、というように項目別にカードをまとめておくと覚えやすいです。
理科であれば、「天体」「地層」「生物」「人体」「植物」などと分けて束ねておきます。
カードは、ノートよりも持ち運びに便利ですし、上着のポケットやズボンのポケットなどに気軽に入れていつでも好きな時に見ることができます。
バスや電車の中でも手のひらサイズのカードの束は、他の人の迷惑にもなりません。たとえ混雑していても見ることができます。
カードを携帯する時には、例えば、月曜日は「理科」火曜日は「社会」などと決めてメリハリをつけるといいと思います。
また、今日は、バスの中では理科の「天体」電車の中では「植物」というように移動する場所に応じてカードの項目を決め、「ここの駅に着くまでにここまで覚えよう!」と目標を持ってほんの少しの時間でも集中できるとより効果的です。
*待ち時間を利用する
カードを作成して持ち歩いておけば、場所から場所の移動だけではなく、例えば、風邪を引いて病院に行った場合などの待ち時間などでも使えます。特に風邪などを引いて病気にならなくても、最近では、花粉症やアレルギーなどで時期的に体調を崩し、どうしても通院しなければならないお子さまも増えています。
このホームページの「集中力をつけるためには」のテーマの中でも述べておりますが、できるだけお子さまの体調は整えておく必要がありますので、やはり調子が悪い時は、学習時間を削ってでも病院を優先することが大事です。
しかし、病院の待ち時間というのは概して長いものです。
そこでカードを使用して学習します。待ち時間にただカードを読み直しておくだけでも効果があります。もし、お母さまとご一緒に病院へ行かれるのであれば、お母さまがカードを預かって、カードの内容を覚えられているかどうかを口頭で質問し、その質問にお子さまが答えることできちんと覚えられているのかどうかを確認するのも効果的な方法です。
記憶というのは、インプットとアウトプットを頻繁に繰り返し行うことでより確実に定着します。
お母さまがカードの内容について質問すると、覚えたことを頭の中で消化して、それをお母さまに伝えることになります。
これは、うろ覚えではなかなか難しいものです。覚えたつもりでいても、答えられないということは、まだその内容が頭の中で消化しきれていないか、記憶が定着していないということになります。
その場合は、カードをもう一度読み直す必要がありますが、そのカードの内容についてもう一度塾のテキストや参考書などで見直しておくといいと思います。
そうすれば、その学習内容への理解がより一層深まり、きちんと消化され、覚えたことは頭の中に確実に定着していきます。
是非お試し下さい。