親御さま相談室

<集中力を持続するためには>

当然のことながら、学習をする時は集中して取り組むことができなければ効率はあまり上がりません。

しかし、小学生の集中力はどれくらい持続できるものなのでしょうか?

大人の集中力でさえ、それほど長くは続かないはずです。
それにもかかわらず、小学校5、6年生ともなれば、かなり学習時間が増えることになります。塾の授業もどんどんと長時間になり、また帰宅してからもさらに机に向かうことになります。

そこで、次の2点を考える必要があります。
(1)どのようにすれば集中力をできるだけ長く持続できるのか
(2)机に向かう時間をなるべく短くして、尚且つ効率が上がるような学習方法はないか

この2点は、相反することのように思われますが、実はこの2点を組み合わせて学習に取り組むとグッと効率が上がります。

まずは、(1)について述べます。
「どのようにすれば集中力を長く持続できるのか」という方法を考えた場合、そこでもっとも必要なのは、率直に申し上げれば気力と体力です。
当り前のことだと思われる方も多いとは思いますが、この二つがなければ集中して学習を効率良く行うことは難しくなります。

この二つはしっかりと結びついていますのでどちらも重要です。

どんなに「やる気」があっても体力的に限界があれば、集中力は低下します。そもそも、小学生のお子さまは大人と違って「やる気」だけで苦痛に耐えながら何かを乗り越えるということはできません。
逆に体力があれば、目標に向かって気持ちが高揚し、益々「やる気」が湧いてくるということがあります。
また、健康で、体力的には何も問題がなくても学習意欲が低下したり、精神的に不安定な状態では集中力は持続しません。

つまり、「集中力をできるだけ長く持続できるようにする」ためには、身体の健康管理をしっかりするということと、心をじょうぶにすることだと思います。

この二つはやはり、親御さまの的確なフォローが必要になります。
さきほども述べましたように、お子さまは体調が少しでも崩れると本来の力を出すことができません。ですから、例えば風邪気味の時に塾の模試を受けると前回の体調がいい時の結果と比較して、成績が格段に下がってしまうということは当然のように起こります。
模試の結果はあくまで一つの目安でしかありませんので、その時に成績が振るわなかったからといって不安になる必要はまったくありませんが、それでもそうした事態はできるだけ避けた方がいいに決まっています。

まずは、身体の健康管理をするために生活の基本的なことを見直してみて下さい。日常のほんのささいなことを実行するだけでもお子さまの健康状態に大きな差が出てきます。

例えば、

  • 帰ったら必ず手を洗う
  • うがいをする
  • 適度に水分を補給するようにする
  • できるだけ夜は甘いものを控える
  • 入浴、歯磨きなどをきちんとして衛生状態をよくする(特に歯痛は集中力の妨げになります。また、歯科医院は混んでいることが多いので通院するとな ればスケジュール調整がたいへんです。)
  • 掃除をこまめにしておく(特にアレルギーをお持ちのお子さまは受験に向かう忙しい時期に症状が悪化することが多いので気をつけて下さい)
  • 食事はなるべく栄養やカロリーを考慮して調理する
  • 暑さ対策、寒さ対策、気温の上下が激しい時期の対策をまめにする
    (冷房が直接お子さまの身体にあたらないように気をつける。暖房をする時は必ず加湿をする。真夏に塾に行く際は、上着を一枚持たせるなどして室内の 温度と外の温度との体温調節を上手くできるようにしておく。)
  • 風邪を引いたかもしれない、と思ったらすぐに対応しておく
    (薬をなるべく風邪の引き始めの頃に飲んでおく。市販の薬は風邪がひどくなってくると効かない場合もある。 病院に行き早めに診察にする。)

以上のことは、日常生活のほんのささいな、しかも当り前のことのようですが、実行することでお子さまの健康状態はかなりいい状態に保てます。
あまりお母さまが神経質になる必要はないと思いますが、季節の変わり目などに配慮しながら、お子さまに対応しておけば、体力維持のためにプラスに働くと思います。

そして、心をじょうぶにするということですが、小学生といえども、大人が考える以上に「子どもの世界の人間関係」もさまざまなことがあります。
塾は中学受験という同じ目的のために授業を行うだけですので、とりわけお友達との関係において問題が発生することは少ないと思います。
ですから、「人間関係」でさまざまなことを経験する場はやはり学校ということが多いのではないかと思いますし、私は、そのような環境はお子さまの心の成長には欠かせないものであると思っています。

しかし、さまざまな問題に直面したお子さまは、その時々で心の中に葛藤が生じます。大人でさえも人間関係に支障がある場合、精神的に不安定になりますから、心身共に成長段階にあるお子さまならなおさらのこと心のコントロールをするのは難しいのではないかと思います。

人間はさまざまな経験を通して葛藤し、解決策を見出し、そのたびに成長するものですが、本人が葛藤している最中はなかなか心の余裕は持てません。
すると、当然、学校での不快な出来事や先生やお友達との人間関係のもつれは精神にマイナスの影響を与えます。
そのマイナスの影響は必ず集中力を途切れさせ、なかなか学習が効率よく進まなくなります。
また、概してこのような時には、テストの成績は下がります。

しかし、そこで私が申し上げたいのは、そこで親御さま、特にお母さまがデンと肝っ玉を据えてお子さまを見守って欲しいということです。
お子さまの成績が下がってしまったことに気持ちが沈んでしまったり、お子さまを心配するあまり動揺してしまうのは親であれば当たり前のことだと思います。
でも、こういう時こそが親としての正念場なのではないでしょうか。
お子さまの話をきちんと聞き、気持をおおらかに受け止めてあげることでまずはお子さまに安心感を与えてあげて欲しいのです。
そして、話を聞いた上で相談に乗ることも大切です。
ここで重要なのは親としての立場を全面に押し出してむやみにお子さまを批判したり、大人の視点で考えて意見を言わないことだと思います。
「子どもには子どもの世界」があり、その中でお子さまはそれぞれさまざまなことを体験して精一杯生活しているのですから、甘やかすという意味ではなく お子さまの立場まで目線を落として相談に乗ってあげるのが好ましいと思います。また、あまりお子さまに対して敏感に反応しないことです。
ましてや、お子さまが心の中に何かしらの葛藤を抱えている時期に下がってしまった成績を親御さまが気にすることは絶対に避けて下さい。
精神的に不安定な時の成績は「なかったこと」にしてもまったく差し支えありません。学力が衰えたわけではないので極端に心配をしないで下さい。
またお子さまの心身が元気になってくれば、自ずと成績は上がってきます。

長い人生のスパンでは、小学生時代のちょっとした出来事は、過ぎてしまってずっとあとになってから考えてみれば、「たいした事ではなかったなあ」ということが多いのではないでしょうか。
ですから、ここはむしろ「お子さまの心の成長のチャンス」と考えてゆっくりといろいろな話を親子で交わしてみるといいと思います。
また、お子さまが学校での人間関係に行き詰って気持ちがふさいでいるような時、「第一志望の中学に入ったらきっと楽しいよ」と話しかけるのも一つの有効な方法だと思います。
自分のちょっと先にある将来がバラ色に見えてくると、また目標に向かって頑張ろうという気持になるお子さまが多いのです。
お子さまの気持ちが前に向いてくると再び集中力が高まってきます。
こういう時、親御さまがお子さまの味方になって安心感を与え、またきちんと意思の疎通をしていくことで、必ずお子さまの心はじょうぶに育っていくと思います。
受験に向かっていくに当たり、意欲的に集中して学習に取り組むには、体力心の強さがどうしても必要です。お子さまの成長段階におけるさまざまな心の葛藤は、一人一人異なるものだと思いますが、以上述べましたことを参考にして頂けたら幸いです。心配事を抱えている親御さまには、個人的にメールにてご相談も承っておりますので解決の糸口が見つからず悩んでおられる場合はご利用頂ければと存じます。

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